ボストーク1号でガガーリンが宇宙へ行った1961年から現在まで宇宙空間に多くの人が宇宙へ到達しています。現在宇宙へ行ったことのある人数は650人を超えると言われており、日本人では14人が宇宙へ行きました。また、国際宇宙ステーションで長期滞在した人数は300人を超えます。さらに、国際宇宙ステーションには常に人が滞在しており、宇宙空間に人がいない時間はなくなっています。

このように宇宙空間で人間が生活をするようになりましたが、宇宙飛行士のミッションや生活を助ける技術としてAIが用いられるようになりつつあります。

ここではAI技術が使われるようになる理由や現在開発が進められているAIをもちいた宇宙飛行士援助サービスについて解説していきます。

宇宙空間でAI技術のアシスタントが必要な理由

宇宙での人の生活でAIが必要になる理由として以下の理由が考えられます。

  • 宇宙飛行士が扱うミッションの増加、複雑化
  • ミッションの長期化
  • 宇宙へ行く人が多様化

ミッションの長期化

長期間、宇宙船のような閉鎖空間で生活することは非常に心身にストレスがかかります。もちろん宇宙飛行士はこのような環境に耐えられるよう訓練されていますが、我々一般人からしたらその大変さは想像がつくでしょう。宇宙飛行士はこれまで長期滞在を問題なく達成してきましたが十分な訓練を行なっていない民間人には厳しい内容となるでしょう。

宇宙での滞在期間は予定している時間よりも一気に長くなる可能性があります。昨年にはボーイングの宇宙船スターライナーのスラスタの不具合により宇宙での滞在が予定の8日間から286日(約9か月)に延長されました。アクシデント一つで一瞬にして、数日間のミッションから数ヶ月のミッションへ時間が伸びることは十分訓練された宇宙飛行士にとっても過酷なものであったのではないでしょうか。長期のミッションでの飛行士のケアはできるだけ充実している必要があるでしょう。

さらに、今後はよりミッションが長期化する可能性があります。これまでの宇宙空間滞在の最長記録はロシアの宇宙ステーションミールでの437日でした。ISSでも371日が最も長い記録で1年と少しの期間でした。しかし、友人火星探査ミッションの場合、片道でも6~9ヶ月かかると言われています。つまり、最低でもミッションは1年以上が確定しています。また、月面探査の場合も現在のISSのような常時滞在となるとアクセスのしにくさから低軌道での滞在時間よりも長くなるでしょう。

長期のミッションでは病気や怪我、心身の不調があった場合でも現地で解決しなければいけません。宇宙飛行士には医師の資格をもつ人が多くいますが、常に専門家がいるとは限りません。

宇宙飛行士が扱うミッションの増加、複雑化

宇宙飛行士は日常で非常に多くの仕事をこなしています。国際宇宙ステーション(ISS)では地上へ宇宙の生活を発信や船外活動のミッション、科学実験などが行われています。このような多くのミッションは複雑なものが多く、AIを用いることで宇宙飛行士の負担を軽減することができる可能性があります。

例えば、ISSでの実験は地上の研究者からの依頼を受けて行われ、専門的な作業を伴うことが考えられるため、地上と宇宙飛行士の連携が必要です。AIを使うことで作業を効率化できれば負担を軽したり多くのミッションを行うことができるようになります。

また、地上との連携は多くのミッションにおいて重要になりますが、将来の月面基地や火星探査では、この「地上からすぐに指示をもらえる環境」が大きく変わります。ISSと地球の通信はほぼリアルタイムですが、火星との通信には距離によって片道4〜24分程度の遅延が生じます。つまり、宇宙飛行士が問題に遭遇しても、地球に質問してすぐ返事をもらうことはできません。地上の専門家が逐一サポートする現在の運用方式は、深宇宙探査ではそのまま使えないのです。

そのため、将来の有人宇宙探査では、宇宙船内でより多くの判断を完結できる仕組みが必要になります。限られた通信帯域の中で、本当に重要な情報だけを地球と共有し、現場ではAIや自律システムが宇宙飛行士の判断を支援する――そうした運用が重要になると考えられています。

この課題を考えるうえで分かりやすい例が、宇宙船のドッキング作業です。ドッキングは、宇宙船がISSなどに接近して結合する高難度の操作で、わずかなミスでも補給遅延やミッション損失につながります。現在は自動化が進み、例えばSpaceXのCrew Dragonは自動ドッキングを行います。このように宇宙飛行士の作業が簡易化することで負担軽減に加え、ミッションの確実性も高まると言えるでしょう。

宇宙へ行く人が多様化

これまで宇宙へ行けるのは、厳しい選抜と訓練を受けた宇宙飛行士だけでした。多くの宇宙飛行士は、アメリカ海軍や空軍のパイロット出身であり、極限環境での任務や生活を経験してきた人たちです。また、エンジニアや医師出身の宇宙飛行士も多くいますが、彼らも打ち上げまでに長期間の厳しい訓練を受けています。宇宙船は閉鎖空間であり、一つのミスが重大事故につながる可能性があります。そのため、宇宙は極限環境への高い適応能力を持つ人だけが行ける特別な場所であり、宇宙飛行士はそのスペシャリストだと言えます。

しかし近年、民間人が宇宙へ行く機会が急速に増えています。特に2021年には、SpaceXBlue Origin が民間人向け宇宙飛行サービスを本格化させ、宇宙飛行士ではない一般人の宇宙飛行が急増しました。また、Virgin Galactic も商業宇宙飛行サービスを展開しています。日本人では、秋山豊寛、Yusaku Maezawa、平野陽三らが民間人として宇宙飛行を行いました。なお、日本人で初めて宇宙へ行った民間人は秋山豊寛さんです。海外では、Katy Perry のような著名人も宇宙飛行を経験しています。また、Jeff Bezos は、自身が創業したBlue Originの宇宙船で飛行を行いました。

このように宇宙飛行士ではない民間人の宇宙飛行機会が増加していますが、このような人々の宇宙での活動をAI技術が助けてくれます。特に先ほどのあげたように長期の滞在を行うとなると閉鎖空間での民間人が感じる負担はスペシャリストの宇宙飛行士に比べ大きなものとなるでしょう。このような環境でメンタルケアを行うAIやスペシャリストがいない状況での緊急時に的確な指示を行うことのできる存在となる可能性を持っています。

また、すでに宇宙へ行った民間人の中には90歳で宇宙飛行を行った人や足が不自由で車椅子生活の女性などがいます。現在でもこのように特別な技術を持たない人やこのような幅広い年齢、体の不自由を抱えているような人でも宇宙飛行が可能ですが、新たなAI技術により、より一般的で多様な人々が宇宙へ行けるように、そして長期間の多様な宇宙旅行が行えるようになるかもしれません。

宇宙飛行士を支援する様々な技術

宇宙飛行士を支援するシステムはこれまでいくつも開発されてきました。深層学習によりAIが大きく発展する前からすでにより古典的なAI技術を用いたツールは提案され開発されてきました。ここでは、これまでに開発されたAIを用いた宇宙飛行士補助ツールについて古いものから新しいものまで紹介します。

医療支援システムCMO-DA

CMO-DA(Crew Medical Officer Digital Assistant)は、NASAとGoogleが共同開発している宇宙飛行士向け医療支援AIです。2025年8月に公開され、NASA Human Research ProgramのArtificial Intelligence Projectsの一環として研究が進められています。

CMO-DAの目的は、長期宇宙ミッション中の医療支援です。先ほどAI技術のアシスタントが必要な理由として述べたように、月面基地や火星探査では通信遅延が大きくなるため、地球の医師へすぐ相談することが難しくなります。そのため、宇宙船内で医療判断を支援できるAIの必要性が高まっています。

CMO-DAは、自然言語処理(NLP)と機械学習を利用したマルチモーダルAIシステムとして設計されています。宇宙飛行士は自然な会話形式で症状を入力でき、AIは症状の理解、追加問診、診断候補の提示、治療方針の提案などを行います。また、音声、テキスト、医療データ、生体情報など複数の種類のデータを扱うことを想定しており、健康状態やパフォーマンスをリアルタイムに分析できるよう開発が進められています。

AI技術としては、大規模言語モデル(LLM)、自然言語処理、機械学習、マルチモーダルAIに加えて、役割ごとに複数のAIが協調するエージェント型AI(Agentic AI)の採用も検討されています。例えば、問診、検査支援、診断補助などを別々のAIが担当し、医療判断を支援する構造です。

ただし、CMO-DAは医師の代わりになることを目的としているわけではありません。医療上の最終決定は、乗組員の医療担当官(Crew Medical Officer)や地上の専門家が行い、CMO-DAはあくまで意思決定支援ツールとして利用されます。現在もモデル改良と性能評価が続けられている段階です。

CMO-DAで開発されている技術は、宇宙分野だけでなく地球上での応用も期待されています。例えば、離島や山間部など医療アクセスが限られた地域、災害現場、遠隔医療環境などにおいて、専門医不足を補う医療支援システムとして活用できる可能性があります。

現在はまだISSなどでのテストは行われていませんが今後のミッションへのアサインが期待されます。

作業支援ロボットAstrobee

ISS内を飛行するAstrobeeの様子.
NASA Astrobeeホームページ

Astrobee(アストロビー)は、NASAが開発した宇宙飛行士作業支援ロボットです。2015年頃に開発内容が公開され、2019年からISS(国際宇宙ステーション)で運用が始まりました。

見た目は小型の箱型ロボットで、ISS内部を自由に移動できることが特徴です。地上のドローンのようにも見えますが、宇宙空間では揚力を得る必要がないため、小型のプロペラを使ってISS内部を飛行します。現在は「Bumble」「Honey」「Queen」の3機がISSで活動しています。

Astrobeeの主な目的は、宇宙飛行士の作業負担を減らすことです。ISSでは、科学実験だけでなく、設備点検、撮影、在庫確認、環境監視など、多くの業務が日常的に行われています。AstrobeeはISS内を巡回しながら、写真や動画の撮影、実験記録の補助、機器や環境状態の確認などを行い、宇宙飛行士がより重要なミッションに集中できるよう支援します。また、地上からの遠隔操作や、新しい宇宙ロボット技術を試験するための研究プラットフォームとしても利用されています。

Astrobeeの初期モデルでは、現在話題の生成AIや大規模言語モデルではなく、自律航法、自己位置推定、障害物回避といったロボティクス分野の古典的なAI技術が中心に使われていました。ISS内部ではGPSが利用できないため、カメラやセンサーの情報を用いて自分の位置を推定し、安全に飛行する必要があります。

しかし近年では、Astrobeeは単なる作業支援ロボットにとどまらず、宇宙用AI技術の実験プラットフォームとしての役割も担うようになっています。2020年代に入ると、機械学習や深層学習を用いた制御研究が進み、最近では深層強化学習による自律飛行や経路生成の研究も行われています。

このようにAstrobeeは、現在のISS運用を支える作業支援ロボットであると同時に、将来の月面基地や火星探査で活躍する次世代宇宙AIロボットの実証機としても期待されています。

JAXAのロボットInt-Ball

JAXA Int-BallがISS内を飛行する様子.
大西卓哉氏のX投稿より引用

Int-Ball(Internal Ball Camera)は、JAXAが開発した宇宙飛行士作業支援ロボットです。2017年にISS(国際宇宙ステーション)の日本実験棟「きぼう」で運用が始まりました。主な目的は、宇宙飛行士の代わりに撮影や記録作業を行い、作業負担を軽減することです。JAXAによると、ISSでは撮影作業が宇宙飛行士の作業時間の約10%を占めることがあり、その効率化が期待されています。Astrobeeと同様にファンをつかってISS内を飛行するロボットで、2024年には二つのロボットの共演が実現しました。

Int-Ball2では外部で開発されたソフトでの飛行制御やことなるOSをもちいたソフトでの起動に成功しより汎用的なロボットであることが示されました。さらに、近年のInt-Ball2では、自律性とAI活用が強化されています。4Kカメラやステレオカメラを搭載し、自律飛行や自動ドッキング充電に対応しています。また、AI・ロボティクス実験プラットフォームとしても利用されており、人物追跡、自律カメラ制御、画像認識などの技術実証が行われています。

メンタルケアロボットCIMON

左からInt-Ball, CIMON, Astrobee, ISS内を飛行する様子.
Coltin, B., et al. (2024). Astrobee: The International Space Station Robotic Freeflyer. NASA Technical Reports Server (NTRS).

CIMON(Crew Interactive MObile CompanioN)は、IBM、Airbus、German Aerospace Center(DLR)、LMU Munichが共同開発した宇宙飛行士支援AIロボットです。2018年にISS(国際宇宙ステーション)へ投入され、世界初のAI搭載宇宙飛行士支援ロボットとして運用されました。写真のように顔がありますが、個人的にはもう少しなんとかならないのかなと…

CIMONの主な目的は、宇宙飛行士の作業支援とメンタルケアです。長期宇宙滞在では、閉鎖空間での生活、孤独感、ストレス、地球との隔離などが心理的な負担となります。特に将来の月面基地や火星探査では、通信遅延や長期間の滞在によって宇宙飛行士の精神的負荷がさらに高まることが予想されており、「話し相手」や「作業アシスタント」として機能するAIの必要性が注目されています。

CIMONは、IBMのWatson AI を中核技術として採用しており、音声認識と自然言語処理(NLP) を用いた会話型AIとして設計されています。宇宙飛行士は自然な会話形式でロボットと対話でき、CIMONは質問応答、情報検索、実験手順の表示、作業ガイドなどを行います。例えば、ISS内での科学実験中に必要な情報を表示したり、次の作業内容を案内したりすることで、宇宙飛行士の認知負荷を減らす役割を担っています。

2019年にISSへ送られたCIMON-2では、AI機能がさらに強化され、感情分析機能(emotion analysis) が追加されました。声のトーンや会話内容などから感情状態を推定し、より自然な対話や心理支援を目指しています。IBMは、CIMON-2を単なる音声アシスタントではなく、宇宙飛行士の「真のコンパニオン(companionship)」へ発展させることを目標としていました。

有人宇宙開発に貢献する最新のAI宇宙技術

ロボットとして直接宇宙飛行士と関わり合うロボット以外にも様々な作業にAIが使われています。将来の有人宇宙飛行技術に大きく貢献する可能性がある技術についても紹介します。

AIとデジタルツインで宇宙空間での作業を援助

将来、宇宙空間で人工衛星を「製造」する――そんなSFのような構想が、実際に研究され始めています。2024年の研究では、AIとデジタルツイン技術を組み合わせた「宇宙工場(In-Orbit Factory)」 の実現に向けた取り組みが提案されました。

この研究の目的は、宇宙空間で小型人工衛星を自律的に組み立てることです。打ち上げ後に衛星を組み立てられれば、ロケット打ち上げ時の振動や重量制約を減らせるだけでなく、必要なときに必要な衛星を宇宙で生産することも可能になります。

中心となるのは、ロボットアーム、AI、そしてデジタルツインです。デジタルツインとは、現実の作業環境や設備を仮想空間上に再現する技術で、宇宙工場ではロボットや衛星部品の状態、作業進行、検査結果などをリアルタイムに管理します。単なる監視システムではなく、製造計画の最適化や異常検知まで行う「仮想の司令塔」のような役割を担います。

AIもさまざまな場面で使われています。例えば、カメラ画像から部品の向きや損傷を検出する深層学習による画像認識、組立時の力のかかり方を学習して失敗しにくい動きを獲得する強化学習的アプローチ、さらに異常な電気特性を検知する機械学習などが導入されています。これにより、ロボットはわずかな位置ずれや部品誤差にも対応しながら、より自律的に作業できるようになります。

また、完全自動化だけではありません。宇宙で予期しないトラブルが起きた場合に備え、地球側のオペレータがロボットを遠隔操作できる仕組みも研究されています。AIはここでも補助役として働き、人間の操作を支援しながら安全な作業を可能にします。

このように、AIとデジタルツインは、単なる「賢いロボット」ではなく、宇宙空間での複雑な作業を支える統合システムとして発展しつつあります。将来の月面基地建設や宇宙空間での大型構造物組立、さらには宇宙工場の実現を支える重要技術になるかもしれません。

AIとARで宇宙飛行士の作業を支援

次に紹介する論文は2024年に発表された論文で、AIとAR(拡張現実)、さらにデジタルツイン技術を組み合わせて宇宙飛行士の作業を支援する技術についてのものです。この研究はNASAの「SUITS(Spacesuit User Interface Technologies for Students)」プロジェクトの一環として行われており、将来のアルテミス計画や月面基地、火星探査での活用を目指しています。

研究チームは、URSA(LLM駆動型没入型ARユーザーインターフェース) と呼ばれるシステムを開発しました。宇宙飛行士はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し、AIに音声で指示を出すことでロボットやシステムを操作できます。手を使わずに自然言語で操作できるため、宇宙服を着た状態や作業中でも利用しやすく、宇宙飛行士の作業を妨げない「非侵襲型(Non-Intrusive)」インターフェースとして設計されています。

このシステムでは、大規模言語モデル(LLM)、AR技術、そしてデジタルツインの3つの技術が統合されています。デジタルツインとは、現実のロボットや設備を仮想空間上に再現する技術です。ロボットの位置や姿勢をセンサーで取得し、その情報をAR空間に表示することで、宇宙飛行士はロボットの状態を直感的に把握できます。また、その情報を利用してロボットを遠隔操作することも可能です。

研究では、LLMを利用した音声操作システム、高精度なロボット追跡技術、宇宙探査向けミッションコントロールコンソールなどが開発されました。特にTransformerベースの姿勢推定モデルを用いることで、ロボットの位置や姿勢を高精度に追跡できることが示されています。

一方で、実用化に向けた課題も残されています。やはり問題となるのは学習データの不足です。宇宙という特殊な環境とAI技術の融合が難しい点として以前、紹介しました。

データの不足により未知の環境や異なるロボットへの対応能力(汎化性能)が十分でないことがこちらの論文でもまた課題として述べられています。加えて、宇宙飛行士がAIへ指示を出し、そのAIがロボットを制御する仕組みでは、LLMのハルシネーション(誤った判断や応答)が重大事故につながる可能性についても指摘があります。

データ不足によるAIの性能の問題を乗り越えること、そして、重大な事故を引き起こさないための運用システムを確立することはクリティカルになるような操作にAIを用いるために必須と言えるでしょう。やはり有人となると一気にハードルが上がります。

通信遅延時代のAIアシスタント(宇宙飛行士の心と作業を支援)

2025年に発表された研究では、深宇宙探査における通信遅延の問題を解決するために、Human-in-the-Loop AI(人間参加型AI)、デジタルツイン、エッジAIを組み合わせる構想が提案されました。こちらの内容もAI&デジタルツインでやはりこの技術が有人宇宙にへの応用として期待されていることが感じられます。

月面基地や火星探査では、地球との通信に数分から数十分の遅延が発生するため、現在のISSのように地上からリアルタイムで支援を受けることが難しくなります。研究では、このような環境でも宇宙飛行士が自律的に活動できる仕組みを目指しています。この論文では、通信遅延による課題を「作業支援」「心理支援」の2つに分類しています。ISSで行われた過去の研究では、深宇宙探査で想定される約50秒の通信遅延でも、作業効率の低下やストレス増加、気分の悪化が確認されており、通信遅延は単なる不便さではなく、宇宙飛行士のパフォーマンスやメンタルヘルスに大きな影響を与えることが示されています。

内容の紹介として個人的に特に面白いと思った「心理支援」に注目してみます。内容は宇宙飛行士の心理支援にディープフェイク技術を活用する提案についてです。家族や友人の日常映像を学習したAIが、本人そっくりのアバターを生成し、宇宙飛行士はそのアバターと自然な会話を行うというもので、地上では多くの問題を引き起こすとして話題になているディープフェイクを技術として優れているものと捉え利用していくものとなっています。

研究によれば、人はAIによって生成された映像だと理解していても、感情的なつながりや没入感を感じられることが報告されており、火星探査のような長期ミッションでは、このような技術が孤独感やストレスの軽減に役立つ可能性があります。

さらに論文では、将来的な発展として「匂い(嗅覚)」の再現にも注目しています。現在のディープフェイク研究は映像や音声が中心ですが、家族の香水や自宅の匂いなどを再現できれば、より強い存在感や安心感を提供できるかもしれません。宇宙飛行士が遠く離れた地球とのつながりを感じる新しい方法として期待されています。

まとめ

今回は、AI技術の応用先として有人宇宙飛行に注目し、宇宙飛行士を支援するさまざまな技術を紹介しました。

将来の月面基地や火星探査では、ミッションの長期化や通信遅延の増大により、宇宙飛行士はこれまで以上に自律的な活動が求められます。そのため、医療支援、作業支援、メンタルケアなどを行うAI技術の重要性が高まっています。

すでにISSではCIMON、Astrobee、Int-Ballといったロボットが運用されており、AIによる支援は現実のものとなっています。さらに近年では、LLMやデジタルツイン、AR、ディープフェイクなど最新のAI技術を活用した研究も進められています。

将来の有人深宇宙探査や気軽な宇宙旅行がAI技術によって実現に近づいていきます。火星や金星の旅も夢ではないかもしれません。

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